日本の七十二候と旬の食

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「5日ごと」に変わる季節を意識して暮らす!「日本の七十二候と旬の食」を一家に1冊!







岡田准一さんが主演し、原作の小説ともども大ヒットした映画の影響もあるのかもしれませんが、最近「暦(旧暦)」が静かなブームですよね。地元の書店でも、ちょっとしたコーナーが設けてあり人気のようです。



1年365日を72節に分け、それぞれ名前を付けた七十二候は、古くから私たちの生活と切っても切れない関係にある、季節感を失わないための暦の一種だと思うのですが、恥ずかしながらこの歳になるまでほとんど知らずに過ごしてきました。




本書は、その七十二節をそれぞれ紹介しつつ、時候にふさわしい「旬」の食べ物を、見やすい写真と読みやすい文字で紹介したムック形式の本です。



72にも小分け(?)したら、かえって分かりにくいのでは?とも思いましたが、例えば任意のページを思いつくままめくって読むと、若い人でも知っている(でも意識したことはないかも)季節感あふれる行事が紹介してあり、七十二候の考え方が「文化」レベルで私たち日本人の意識に浸透していることを思い知らされます。




例えば今日7月2日は6日までつづく「半夏生」の季節。旬の食べ物として、蛸・毛蟹・ピーマンの3品が紹介してあります。


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半夏生 一年の後半が始まる境目の時期。忙しい農作業にも一段落


蛸 ●関西では半夏生に蛸を食べる

蛸は冬にという地域も多いのですが、関西では夏に好まれ、半夏生に蛸を食べるという地域もあります。マダコは明石のものが有名ですが、瀬戸内海のあちこちで蛸漁は盛んです。生鮮で流通するほか、産地ではハンガーのようなものに掛けて天日干しする干し蛸も作られています。世界で最も蛸を食べるのは日本人。欧米ではあまり食べられませんが、イタリアやスペインでは食べられています。

毛蟹 ●戦後に認められた新しい珍味

カニの季節は秋から冬と思いがちですが、日本近海の毛蟹は一年中どこかで獲られています。六月から七月は北海道の噴火湾海域、七月から八月は胆振地方海域のものなどが出回りますから、夏の北海道旅行でも獲れ立てを食べることができるわけです。おいしい蟹の一つですが、何と戦前までは雑魚扱い。戦中・戦後の物のない時代に売られるようになって初めてその味が認められたということです。

ピーマン ●高湿下で成長する夏野菜の定番

高湿が好きでも多湿には弱いピーマンは、梅雨開けの頃からが露地ものが本格的に出回る季節。トウガラシの品種の一つと聞くと意外に思いますが、形は確かに太ったトウガラシ。辛味ではなく苦味が特徴ですが、このために子供受けが悪いという大人の野菜。日本では長らく緑色のピーマンだけが流通していましたが、最近は肉厚で赤や黄色のカラーピーマン(パプリカ)も店頭でなじみの顔となりました。


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どうです?けっこうためになるでしょう。おもしろいなと思いませんか。おおぶりの1ページに、書かれている文字はこれでほぼ全部。カラー写真も美しくて親しみがあり、読んでいて飽きません。




旧暦だとか七十二候というと、お年寄りにしか分からないとか、今はもう関係ないでしょう?という方もいるかもしれません。しかし、それでも私たちは「土用の丑の日」にうなぎを食べたり、「冬至」の夜には柚子湯につかって風邪をひかないようにしようとするでしょう。「いや、しないよ」という人でも、SNSなどで周りの人が食べたりやったりしているのも見ても、少なくとも"違和感”は無いはずです。そうした、違和感がない共通認識を「文化」と呼ぶとしたら、やっぱり知らないより知っていたほうが多少なりとも心が豊かになりますし、なりより楽しいと思います。



流通の発達や食文化の変遷で「食に季節感がなくなった」と言われる現代ですが、やはり旬の食材は味が違う。古くて新しい先人の知恵が、思わぬ形で復権しつつある。そんな気がしてなりません。
by ANB27281 | 2013-07-02 13:29 | レビュー

鳥取県米子市で営業する、スバル代行社長の個人的なブログです