英国一家、日本を食べる

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日本の食文化を、イギリス人に教えてもらおう!?「英国一家、日本を食べる」はこちらから。






パリの有名料理学校「ル・コルドン・ブルー」で1年間修行をしたり、三つ星レストラン「ロブション」での経験を本で綴ったこともある、英国のフードジャーナリストが書いた日本の食紀行文です。






"外国人ならではの視点で、自国に暮らす人たちでさえ気がつかない文化をユニークな視点で記す”という本はいくつもありますし、「食」というのは特に文化の違いが目立つ分野ですから、こうした食文化の相違点を指摘した名作というのも数多くあるでしょう。そんな中にあって本書が際立っているのは、奥さんと小さいお子さん2人を連れた、3ヶ月の家族旅行記といった一面があるからです。生まれて初めて目にする相撲力士の姿に圧倒されながらも興味津々な様子や、焼き鳥の軟骨や砂肝にトライしたら意外に美味かったと喜ぶ姿。それをイギリスの一父親として文章に記すことで、日本や日本の食べ物に対する洞察力はさらに深まり、また読者である私たち日本人を大いに楽しませることに成功しました。







《次に寄ったのはだるまという、今や日本で名を知られる串カツ屋だ。お好み焼きと同じく、この串カツ—肉、魚、野菜などにパン粉をまぶし、串に刺して揚げた料理—にしても、いまだに世界で旋風を巻き起こしていないのはなぜなのか、理解に苦しむ。これも大阪のすばらしいファストフードで、天ぷらや焼き鳥—串カツと形態が似ている—と同様、日本を代表する料理として世界中に広める価値がある。串カツの衣は独特で、これまた特別な、濃厚で甘みのある黒光りしたソースを、ひと口大の肉、魚、野菜の串にたっぷりとつけて食べる。
串カツの秘密はとにかく衣にあって、だるまの場合、ピューレ状にした山芋、小麦粉、卵、水に11種類のスパイスを特別にブレンドして作る。薄くカリッとした衣に揚がるのが特徴だ—僕らは、ビーフ、エビ、ウズラ卵、チェリートマト、アスパラガス、チキン、ホタテを食べた。串を揚げるのは190度のビーフオイルだ。ソースは共用の容器に入れてカウンターに置いてあり、「No double dipping(二度づけ禁止)」と英語で書かれている。

ところで、だるまは大阪を象徴する通天閣のすぐそばにあるが—こういう塔も、水族館や観覧車と同じく大都市のシンボル的存在だ—その目立つお隣さんよりもはるかに歴史が古い(創業80年)。僕らはカウンター席に着いたが、小さなオープンキッチンで働くスタッフが身体をかがめたり忙しく動き回ったりするたびに、足元に水が飛んできた。粗末な店かもしれないが、串カツというものを知るのにこれ以上の場所はない。しかも、ウズラ卵とトマトはずば抜けているし、薄くパリッとしていてサンドペーパーをかけたみたいに均一や衣は、口のなかでカリッと割れてとろりとうまい中身と混じり合う。値段は1本50ペンス以下なので、食べすぎると入院する羽目になるというリスクを頭に入れておかないと、どこまでも手が出てしまう。》
(「英国一家、日本を食べる」奇跡の味噌とはしご酒 大阪2 P.208〜209)






日本の文化は良くも悪くもかなり変わっている(らしい)ので、外国の人が書いた文章はどうかすると手放しの称賛か、欧米人らしい偏見がみられるものが多くあります。著者のマイケル・ブースさんは、フードジャーナリストとしての経験と知識を上手に活かしながら、むしろそうした先入観や偏見といったネガティブな部分さえ、私たちに嫌味に感じることがない本を書いてくれました。どちらかというと、そうした外国人らしい素直な「なぜ?」という発信を通して、普段我々が鈍感になったりしがちな、この日本という国の食文化の素晴らしさと危うさが浮き彫りになっている気さえします。




懐石料理からラーメンまで、「日本料理コンペティション」の現場から「ビストロSMAP」収録スタジオまで。日本料理と食文化について、可能な限り多くの内容を好奇心と異文化への敬意、イギリス人らしいユーモアたっぷりに紹介してくれました。色んな読み方ができる本です。おもしろい!
by ANB27281 | 2013-06-16 18:35 | レビュー

鳥取県米子市で営業する、スバル代行社長の個人的なブログです