渾身





先日、映画「渾身」の試写会へ行ってきました。




「白い船」(02)、「うん、何?」(08)、「RAILWAYS〜49歳で電車の運転士になった男の物語〜」(10)と、長年にわたって島根県を撮り続けてきた錦織良成監督の最新作は、美しい自然と碧い海が広がる隠岐諸島に伝わる【隠岐古典相撲】でした。当然、山陰に暮らす私たちにとってはいろいろな思いがあると思います。隠岐の雄大でたおやかな自然界を丁寧なカメラワークで撮影された映像に息を呑む人もいることでしょう。島民のすばらしい協力のもと、20年に1度の遷宮相撲を再現したと言われるラスト大取の一番は圧巻でした。鍛え上げられた役者同士の自然な肉体美は、“作られた”映像やスペクタクルに慣れた私たちに爽やかな興奮を運んでくれたと思います。





個人的には、錦織監督と、それから「渾身」という作品の魅力に共感して集まった、主演はもちろん脇を固める俳優・女優陣の充実ぶりがすばらしかったと感じました。今作で本格映画デビューを飾った、劇団EXILEの青柳翔さんも良かったが、同じく主演を務めた伊藤歩さんの存在感が強烈にアピールしてきます。どうかすると、彼女がほとんど1人で“もっていく”のでは無いかと思うところに、錦織作品ではおなじみの甲本雅裕、長谷川初範、宮崎美子さんといった味のある実力派や、財前直見、笹野高史さんら演技派が織りなす人間模様は、性別や年代を問わず私たちの心に感動を運んでくれるはずです。






「まさか、相撲で泣くなんて。」





本作品のコマーシャルに使われているコピーです。各地で先行された試写会をご覧になった方のブログなどでも「泣けた」「涙がとまらない」という形容をたくさん目にします。






一口に「泣く」と言ってもいろいろありますよね。あまりネタバレな投稿はできませんが、この作品の大きなテーマの1つは「再生」です。家族・地域・男と女・親と子・・・さまざまな立場で、ちょっとボタンを掛け違えてしまったり繋がりを続けるのが苦手な人たちが、隠岐という舞台を通じて渾身の想いで再生していこうという強い意志が、一本すーっと通っている。




人は、どんな過ちを犯したとしても、愛する家族と地域と真摯に向き合い、渾身で生きていけば再生できる。ともすると根性論的な暑苦しい話を、一級のストーリーと映像でかろやかな映画作品に仕上げられました。







山陰地方では1月5日から先行ロードショー、全国公開は1月12日からです。夫婦で、恋人で、親子で。ぜひ、お楽しみください。
by ANB27281 | 2012-12-19 16:48 | レビュー

鳥取県米子市で営業する、スバル代行社長の個人的なブログです