Superflyという名の挑戦

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冒険作!Superflyの最新作「Force」





4枚目(Fourth)のアルバムにして、Superflyというバンドは力(Force)を込めて新しい1歩を残しました。




非常に【ロック】色の濃いアルバムだと言われています。各種レビューでもそうですし、雑誌のインタビューで越智さん自身も【ロック】【ライブ感】というのをキーワードとして用いている。



敢えてむちゃくちゃステレオタイプな評価をお許しいただければ、Superflyには60〜70年代に活躍した、イギリスやアメリカのロックバンドに対する称賛を軸とする音楽性に、越智志帆さんという稀代の女性フロントマンを擁したグループという一面があります。



そうだとしたなら、今作「Force」は、ロックアーティストとして彼らの集大成なのではないか?



結論から言えば、それは違います。ニューアルバムで越智志帆さんと多保孝一さんは、とんでもない挑戦をしています。



1stアルバムから一貫して、Superflyは丁寧な音作りとプロダクションを通じて、ビンテージロックの息吹を継承しつつ、むしろJ-POPと呼ばれる歌謡曲ファンにこそ支持を受けてきたと感じています。前作のツアーも、実はこっそり(笑)大阪で参加していたのですが、たぶんローリング・ストーンズやフリートウッド・マックなど、聴いた事もなければ存在さえ知らないのではというファンで一杯でした。



もちろんね、そんな昔のおっさんの事なんか知らなくて良いのですよ。Superflyの凄いところは、何度でも書きますがそうしたビンテージロックに最大の敬意を払いつつ、自分たちの音楽として完全に消化し、実にPOPな越智志帆という女性のキャラクターの演出に成功している所だからです。


そうした、リッチなプロダクションが今までだとしたら、今回彼らは敢えて荒削りな音楽を出してきたと思います。越智さんは、アルバム作りを通してパートナーの多保さんに、上手に整っている曲じゃなくて、気持ち一発で作っているようなものをとリクエストされたそうですが、ギターのリフ、曲の構成など、なるほどシンプルになったのではないか。彼らの代表曲の1つになるであろう名バラード「輝く月のように」も、よくよく聴くと基本はとてもシンプルな構成なのが分かると思います。


そうした意味で考えると、今までのSuperflyが「ロック」の魅力も感じさせる「ポップス」だったとしたら、上質の「ポップス」に「ロック」の生き様を取り入れた作品なのでは無いか。生き様なんて、何も大げさにと言われるかもしれません。実際大仰だよね。でも、そんな感想を持ちました。


ロックな生き様と言っても、越智さんが急に荒々しくなったとか、そういう意味ではありません。むしろ、魅力一杯のキュートで等身大な歌声に益々磨きがかかっている。

そんな表面的な事ではなくて、例えば今までSuperflyは、作曲家である多保さんとアーティストである越智さんとの分業制による仕事の進め方を常にされていたようですが、今回からコミュニケーションをしっかりと取り、話し合いをしながらアルバムを作るように変更したそうです。また、今までだとわざとビンテージロックのリフを「パクる」ような曲を書いてはオールドファンをニヤリとさせてくれていましたが、「'60〜'70年代の音楽に憧れがあって、そういうリフからスタートする曲を作っていましたけど、私たちはリアルタイムじゃないので、憧れでしかない。だけど、あのときに感動したリフとかを消化したうえでできたと思うんです」(「WHAT's IN?」10月号P.58〜59)と本人も告白されるように、今までのスタイルを意識的に変えて行こうとするムードが、音から小気味良く伝わってくる。そんな小さな積み重ねこそが、本当の意味でのロックっぽさかなと思いました。




「暑苦しいアルバムを作りたかった(笑)」と越智さんはおっしゃっていて、初回限定にはなんとアルバム収録曲である新曲を、順番通りにライブ録音したライブアルバムが「おまけ」として付いているのには仰天しましたね。暑苦しい(笑)。こうした画期的な挑戦ができるのも、今Superflyというアーティストが、良い意味でアグレッシブな旬を迎えているからだと思います。





《本当は泣きたい 泣きたいんだ

 孤独に震えている

 迷い悩んで 後悔して

 それでもここにいたい

 愛したい 愛したいよ

 あなたの全てを

 ぶつかり許して 信じ合える

 強さが欲しい》(Superfly「Nitty Gritty」)





Superflyは、とても良質の成功曲線を描いていると感じてきました。ここで言う成功とは、楽曲が売れて金銭的にとても裕福になったという意味ではありません。もちろん名作の名に値するだけの報酬は得ているに決まっていますが、とても自由に、楽しく自分たちの音楽をできる環境を手にして。そういう真の意味での豊かな成功をしっかりと手にしているなと感じるのです。それでいて、少しもおごる事なく、女性らしい優しさと、それから自分の弱ささえ少しも嫌味なく詩にのせる。そうした、越智さんのシンプルな強さこそが、ロックアーティストとしての彼女の魅力であり、普遍的なメロディが大勢の聴衆の心を掴んで離さない、ポップバンドとしての真骨頂ではないか。



2012年、大手J-POP界で一二を争う力作の誕生です。特に普段女性アーティストを聴かない男性も、ぜひお楽しみください。
by ANB27281 | 2012-09-21 14:20 | レビュー

鳥取県米子市で営業する、スバル代行社長の個人的なブログです