ライフログの技術

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洋泉社MOOK 「ライフログの技術」








「ライフログ」という言葉が、ここにきて俄然光を浴びています。NHKが春ごろテレビで大きく取り上げたのも、その理由の1つだと思われます。



よく知られているように、ログ=logとは「航海日誌」といった英語圏の言葉で、日本では日記と訳されることもあります。現在では、もっと広く「記録」といったイメージでとらえておけば良いかもしれません。さすがに今ではもう説明もいらないであろう、【ブログ】という言葉も、web logの略語であり、インターネットユーザーを中心に今で言うブロガーが出現しはじめたころは、「ネットに自分の“日記”などを書いて何がおもしろいのだ?」という意見が多数ありました。今となっては懐かしい話です。



聞き慣れないという方に、簡単で少し強引な解説をするなら、「ライフログ」とは個人の生活全般=lifeを丁寧に記録することで、新しい価値を創造していく試みです。読んだ本やその日食べた食事などをブログやSNSサイトに投稿している方がたくさんいるでしょう?最近では、1日お金をいくら使ったかといった家計簿みたいな使い方や、ダイエットの状況をつぶさに投稿している人もいます。こういったもの全般を、ライフログと言います。多分。



本書は、その大部分をPART 1「ライフログの達人たちの使い方に学ぶ」というコーナーに費やしています。ネットのプロが、どのようにライフログを形成しているのか、とても興味深く読みました。勝間和代さんや、超人気ブロガーのちきりんさん、会社社長の古川健介さんなど、なるほど達人はこういう努力をやっているのかと素直に感心しましたし、私自身ブログこそ最近はあまり書いていませんでしたが、Facebookを使って毎日投稿を続けていて、もっとポジティブで有益な使い方は無いだろうかと思っていただけに、さっそく取り入れようとみようという言葉がたくさんあります。とりわけ



《また、日々のことを書くのは“思考の整理”をするうえで非常に有効です。(中略)人の話を聞いてわかるというのと、聞いたことをまた違う人に伝えられるようになるのとではまるで違います。》



という、フリージャーナリストの漆原次郎さんの言葉は個人的にとても深く感じました。例えば、私は今こうして自分が読んだ本についてブログに記事を書いているわけですが、読んだものをアウトプットしようとするとき、思った以上に読後感がモヤモヤしていたりするのに気がつくことが多い。そこを整理してウェブ上のログ=ブログに残しておき、さらに時間がたった後で読み直してみるのも、意味があることだと感じます。



ただし、mixiでもTwitterでもFacebookでも、それから「ノマド」などのIT流行語でもいいと思うのだけど、こうした新しいメディアや価値観が出てくると、実際の価値より過剰なまでに大きく評価されるものだ、ということも肝に銘じておきたい。これはあくまで個人的な価値観かもしれませんが、私は以前ブログを毎日更新していて、また現在だとFacebookでかなり頻繁に「今日食べたもの」を投稿しますが、可能な限り「今日のランチはカルボナーラ☆おいしい〜」みたいな記事にしないように努めています。もっと具体的に記せば、

1.よほどその店を推薦したい場合

2.店もいいが、いっしょにタグ付けなどした友人との様子を共有したい

に気をつけています。さらにいえば


3.そのお店へのチェックインや料理の写真を足がかりに、お店そのものとは本来関係が薄い内容の記事を書きたい場合


というのもある。美味しいお蕎麦屋さんの蕎麦を紹介しつつ「夏の蕎麦は犬も食わぬという諺が昔はありましたが、現在は夏でも香り高い蕎麦をさまざまな努力によって品質管理されているお店も多くなりました。ところで・・・・」といった具合です。




「ウェブはバカと暇人のもの」等の著書で一躍人気になった、中川純一郎さんが本書にも寄稿をされていて、他の達人とは1味も2味も違う異彩を放っていますが



《「目立ちたい」「儲かりたい」という目的でライフログをつけるのは、ちょっとどうかと思う》

《第一、非公開といってもネットに流すのだから、見てもらいたいという欲求がどこかにあるはず。よく「このブログは備忘録です」という言い方がありますが、本当に備忘録ならオフラインのテキストファイルやワードで残せばいい。》

《承認って普段から実績があれば勝手にされるものだり、自ら「盛る」べきものではない。》



といった強い言葉に、ドキリとさせられます。刺激的なタイトルや発言で、ともすると皮肉屋みたいに言われることもある中川さんですが、私はとても愛にあふれる人だと感じています。




先にも記したとおり、私はこの「ライフログ・ブーム」には懐疑的なところが大きいですし、例えば勝間和代さんが体重をライフログに記録されているのは良いとして(人に見られているというのは、それだけで効果があると思います)、タニタと海外製の体重計を2つ使うとか、iPadを4台、レッツノートを4台使うと便利ですとか言われても、「はぁ?」と思っちゃったりもします(笑)。



いずれにせよ、好むと好まざるとに関わらずスマートフォンの普及や、ソーシャルメディアサービスの画期的とも言ってよい向上により、巷は「ライフログ」に溢れていますし、おそらくこうした流れは当分終わらないと思います。「自分が食べたものを、ただネットにあげて何がおもしろい?」とおっしゃる方の気持ちも、痛いほど分かりますが、そうしたノイズのような投稿を自ら上げることなく、メディアリテラシーの向上を図ることは、プロだけではなく私たち素人にこそ、今とても大切なスキルなのではないでしょうか。
by ANB27281 | 2012-09-02 16:22 | レビュー

鳥取県米子市で営業する、スバル代行社長の個人的なブログです