清水義範の作文教室

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愛情あふれる作文教室!「清水義範の作文教室」




現代日本で、もっとも愛を感じさせる笑いを文章で表現できる作家の1人は、清水義範さんです。





清水さんには文章指南とでもいうべきカテゴリーに属する本がいくつかあって、例えば大人が読んで純粋に“役立つ”という意味では、「大人のための文章教室」などの方が秀逸なのかもしれませんが、敢えて今日はこちらをご紹介。



小学校低学年から6年生までを対象に、課題と添削をファックスでやりとりするというユニークな手法で行った「作文教室」を、1冊にまとめたものです。小学生が苦労しつつも一生懸命に書いた作文が、読んでいて思わず笑ってしまいますし、またそれにプロの作家である清水さんが、やさしく子供の目の高さで指導する様子にも心を動かされます。



今私は“心を動かされ”ると記しましたが、それは、ありがちな大人と子供の交流に感動するとか、そういった類のことではありません。もちろん、そのような部分もたくさんあって、それが本書の魅力の1つでもあるのだけれど、それはみなさん実際に本書をご覧になって感じてください。



私がブログで指摘したいのは、小学生を対象にした文章講座であるにもかかわらずーいや、そのような子供たちを対象にした教室だからこそなのかもしれませんが−、「おもしろい文章を書くとはどういうことか」という、少し大げさに書けば本質のようなものが、この本にはたくさん書かれているという事です。




あまり意識されていないのかもしれませんが、「おもしろい文章を書く」というスキルは、今歴史的に見た事がないほど重要になっています。いや、歴史的という言葉を使うのなら、一般の素人(広い意味で文筆家でない人という程度の意味です)がこれほど「文章を書く」事態というのは、日本の歴史をひもといてみても経験したことがありません。



ブログや、Twitter・FacebookなどのSNSを出現があったからです。




このようなソーシャルメディアを通じて、私達は例えば30年間の同世代の人たちと比べて、もの凄く大量の文章を書くようになっていて、その中でユーモアだったり、皮肉を使って他人に読ませる文章という、ある意味テクニックが必要な内容を書くことを迫られています。



にもかかわらず、文章とは“他人に読まれる”という大前提を理解せず、独りよがりで意味不明瞭な文章や投稿しかできない人がいるというのは、とても不幸な事ではないでしょうか。




それは、才能だとかよほど変わった体験によるものでは無いからです。ほんのちょっとしたコツで、「この人の文章はおもしろい」と思ってもらえる。そんな事が本書で紹介されている子供たちの作文と、それを添削する清水さんとのやりとりから、浮き彫りになってくるなと感じました。



内容のすべてがそうだとは言いませんが、例えば子供と休みにどこかへ出かけたとして、それをブログに写真も含めてまとめようと思ったとしましょう。ところがどうも上手くいかない。Facebookで、できれば多くの友人から「いいね!」と言われたいのに、自分で読み直してみてもしっくりいかない。



それは、1日あったことを全部書こうとしているからかもしれません。




《●遠足のことを作文に書くときのコツを教えます。その日のことを全部書こうとすると、変化がなくてあまりおもしろくありません。「出発した。歩いた。どんどん行った。○○を見た。おべんとうを食べた。あそんだ。帰った。疲れた」というような単調な作文になる。
●遠足のうちで、1番心にのこったこと(おもしろかったことでも、腹が立ったことでも、ドキッとしたことでもいい)を中心にして、それだけを書くようにしたほうが、いい作文になります。次は、やってみてください。》
(「清水義範の作文教室」P.56)


また、個人的に他人のブログを読んでいて気になる「言う」と「いう」の使い分けも、案外子供はさておき大人も使い方がアヤシイよなと思っています。



《●「フライパンと言うお店」は、「いうお店」です。

山田君という人
「こんにちは」と言う

このふたつのちがいをおぼえよう。》(P.72)



こういうちょっとしたところ、小学生がやっちゃいそうな間違いを、大人でも平気でしてしまう人が驚くほど多いですよね。個人的には「言う」=英語に訳したとき「say」となる、「いう」=そうならないといった基準で漢字でひらくかひらがなのままかにしています。




生徒と先生とのやりとりの合間に「○月の日記」と題した、清水さんのエッセーが挿入されています。清水さんは国語教育を論じる際、よく読書感想文の弊害というのを語っていて、私は強烈に共感する者なのですが、本書にも8月の日記として「読書感想文の愚」というものが掲載されています。教育関係者の方はもとより、ぜひお子さんを持つ親御さんにも読んで欲しい内容と言っていい。




私は、毎月第1・3・5週の火曜日15:00〜15:45に、米子のコミュニティFMラジオ局のDARAZ FMにて「その場しのぎの男たち」という番組のパーソナリティを担当しています。*再放送は同金曜20:00から。


番組内にて「つながる読書」というコーナーを設けていますが、8月21日のオンエアでは、この本をご紹介しつつ、読書感想文の弊害についても、おしゃべりみたいな感覚でみなさんと考えてゆきたいと思っています。
by ANB27281 | 2012-08-15 18:27 | レビュー

鳥取県米子市で営業する、スバル代行社長の個人的なブログです